フォトディテクター読み取り用電流-電圧変換回路

2019 11/03
フォトディテクター読み取り用電流-電圧変換回路
たんたんのアイコン画像たんたん

今日はフォトディテクター(Photodetector)の読み出し回路について書いていくよ。
フォトディテクターって知ってる?

けろたんのアイコン画像けろたん

知ってるよ。光が入射すると、光電効果によって電流を出す半導体素子でしょ?

たんたんのアイコン画像たんたん

そう。フォトダイオードという種類がメインで、その名の通りダイオードになっている。しかし問題がある。

まほちゃんのアイコン画像まほちゃん

なに?

たんたんのアイコン画像たんたん

問題は、けろたんが言うように電流が発生するのだ。
実は電流は扱いが難しく、電圧に変換してあげることが重要なのだ。
今日はその実用的な変換回路について書いてみるよ。

目次

目的: フォトダイオードの読み出し回路を設計

例えば下記のようなフォトダイオード(以下PD)があった時、PDに入射した光のパワーに比例した電圧を得たい。そのための回路を考える。

あわせて読みたい
Thorlabs - FDS010 Si Photodiode, 1 ns Rise Time, 200 - 1100 nm, Ø1 mm Active Area

このPDはFDS010という型番で、よく使われるシリコンフォトダイオードの一つ。

基本的には電流を電圧に変換すれば良いが、後段回路の影響を少なくし、かつノイズも考慮する必要がある。

図1 単純な電流・電圧変換回路

上記のような単純な回路でも電流を電圧に変換はできるが、\( V_o \)を読み出すために何か素子(例えば適当に作った電圧計)をつけると、\( R \)に対して並列に負荷が加わりに上図の測定系が乱されてします。

そこでもっとこの読み出し回路を工夫して、安定的に、かつノイズが少なくなるように工夫しないといけない。

オペアンプを利用した電流電圧変換回路

オペアンプ(OPamp)を使用すると、その整流作用により、後段の負荷に影響されずに、電流に比例した電圧値を得られる。

図2 オペアンプを利用した電流電圧変換回路

PDには反応率\( \sigma \)(Responsivity)というスペック値があって、単位は[A/W]で各光の波長に対して、どれだけのパワーが入射されるとどれだけの電流が発生するかを示している。例(Thorlabs FDS010スペックシートからの引用):

量子効率
図3 反応率。入射光のパワーに対して、発生する電流の値(Thorlabsからの引用)

上記の回路の場合、入射光が\( P \)[W]だけあったとすると、

$$ I = P\sigma $$

であり、出力される電圧\( V_o \)は

$$ V_o = IR = P\sigma R $$

となる。

逆に

$$ P = \frac{V_o}{\sigma R} $$

のように知りたいパワー\( P \)を出力の電圧値\( V_o \)で表せるので、測定したい光のパワーがわかる。

では、図2のような読み出し回路でバッチリなのかというと、そうでもない。

たんたんのアイコン画像たんたん

実は図2のような回路を組むと発振してしまうことがあるのだ!

まほちゃんのアイコン画像まほちゃん

なぜ?それに発振って何?

たんたんのアイコン画像たんたん

「なぜ?」に答えるには厳密には古典制御理論の説明をしないといけないんだけど、面倒だから省くね。
「発振」というのは、出力電圧が、sin波などでどんどん大きくなってしまう現象
そこで、コンデンサーを追加して発振を防ぐ。

実用的なPD読み出し用電流電圧変換回路

circuit003
図4 実用的なPD読み出し回路

だいぶ複雑になってきた。図中に追加されたコンデンサーについて1つずつ説明をする。

  • \( C_j \): PDの寄生容量。実際にはないけど、計算時にはあると仮定するコンデンサー。
  • \( C_O \): オペアンプの電源へ流入するノイズの抑制用コンデンサー。一律に0.1uFでOK。
  • \( C \): 発振を防ぐためのコンデンサー。

この回路なら下記のような効果が発揮できる。

  • 後段回路の影響を防げる。
  • 発振が防げる。
  • オペアンプ起源のノイズも低減できる。

では、実際にそれぞれの素子はどのような値を取るべきか、どのようにして決めるべきか。

回路パラメータの決定方法

まず\( R \)に関して。これは簡単で、想定される最大光量\( P_{max} \)の時にオペアンプの許容最大出力\( V_{max} \)が出るようにすれば良い。

$$ V_{max} = I_{max}R = \sigma P_{max} R $$

であるから、

$$ R = \frac{V_{max}}{\sigma P_{max}} $$

で決定すれば良い。ちなみに15V電源が使用されているオペアンプの場合には\( V_{max} \)を13Vとしておくと良い。

次に、\( C_O \)は一律に0.1uFで良いので、あとは\( C \)を決定できれば良い。

これは次の式に当てはまる\( C \)を使用すれば良い。

$$ \frac{1}{2\pi RC} = \sqrt{\frac{{\rm GBP}}{4\pi RC_j}} $$

ここでGBPはgain bandwidth productといわれるもので、オペアンプのスペック値の一つ。この式を\( C \)について解けばよく、

$$ C = \frac{1}{2\pi R}\sqrt{\frac{4\pi RC_j}{{\rm GBP}}} = \sqrt{\frac{C_j}{\pi R \cdot {\rm GBP}}} $$

となる。

パラメータ単位
入射光の波長1550nm
PDFGA04
\( \sigma \)0.9A/W
オペアンプOP07
GBP0.6MHz
\( P_{max} \)40mW
\( R \)185Ω
\( C_j \)0.7pF
\( C \)35pF
\( C_O \)0.1uF

(後段の読み出し回路とのインピーダンスマッチングを行うなどの必要性があったりするが、今回は省略。)

関連記事

応援よろしくお願いします☆

この記事を書いた人

天文の博士号をもつ理系パパ。
3歳の娘を子育て中。
最近はダイエットに挑戦中!

コメント

コメントする

目次
閉じる